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外反母趾



母趾が中足趾節関節(MTP関節)で外転内施し、この外反角度がおよそ15°~18°以上のものを外反母趾としています。
強い痛みを伴う場合があり、歩行に障害が出るため、全身の不定愁訴(肩こり、腰痛、膝関節痛、頭痛)などの原因になると考えられています。

◎原因
外反母趾の発生には複数の原因が関係しています。
①遺伝的な解剖学的要素
母趾が第二趾より長いエジプト型の前足部
第一中足骨の足根中足関節で中足骨内反が強いこと
脛骨側の種子骨が欠損しているか、腓骨側種子骨に比べて小さいこと。
②外から足に加わる環境因子
閉塞性の履物(足に不適合な足袋・ストッキング・ソックス・ハイヒール・パンプス)で、前足部を窮屈にしめつける。
前足部に負担をかけるスポーツ(テニス・スキー・卓球・陸上等)
③その他
結合組織の脆弱性や性ホルモン
疾患の合併症(リウマチ等)
◎予防と対策
まず、外から加わる因子を最小限にすることです。
先の尖った靴は避け、足に適合した靴選びをしましょう。(難しいことですが、相談にのります)
日頃から入浴中や風呂上りの足の体操とマッサージを心がけましょう。
足趾のグッパー体操
手指と足趾での握手
坐位でのタオルたぐり寄せ運動
足趾で直径3cm程のスーパーボールをつかむ
両母趾に輪ゴムをかけ足を左右に広げる輪ゴム体操。徐々に輪ゴムの太さを太くする
今より外反が進まないように、自分で趾や足全体の筋力を鍛えることが大切です。

趾変形(ハンマートゥ)


大きく二つに分けられPIP関節では屈曲し、DIP関節では伸展している状態を槌趾(ハンマートゥ)DIP関節に限って屈曲変形を生じている状態をマレット趾と呼びます。
靴を履いたときに痛みを伴う場合が多く、変形趾PIP関節の背側や中足骨骨頭底部(足趾の付け根の下)に胼胝(タコ)が形成さることが多くあります。

◎原因
①先天的にある足趾だけが長い場合
②不適合な靴・ストッキング等の常用(前足部にゆとりのない靴、前滑りを起こしやすい靴、大きすぎる靴、弾性のきつすぎるストッキング)
③趾変形を合併しやすい病気(リュウマチ性関節炎、糖尿病、痛風、その他の神経疾患や筋肉麻痺など)
◎予防と対策
不適合な靴やストッキングは避け、足に正しく合った靴を選びましょう。
軽度のものは趾を引っ張ることで矯正されることもありますから、入浴時に屈曲した関節をやさしく伸ばしたり、回旋運動を根気よく行ってください。

開張足

前足部が扇状に広がり横アーチが消失している状態で、歩行時は第2・第3趾の中足骨骨頭底部(足趾の付け根の下)の荷重が最も強く痛みを引き起こしやすくなります。

◎原因
①労働や激しいスポーツ又はハイヒールの常用等により体重が前足部にかかり中足趾節関節(MTP関節)の荷重が増すため。
②外反母趾や外反扁平足などの足に合併して起こる。
③慢性関節リュウマチ(関節・靱帯の破損、弛緩)等による。
◎予防と対策
靴はMTP関節に負担をかけないローヒールで、中敷素材がソフトなものがよく、前滑りを防ぐため紐やバックル付きのものが好ましいでしょう。足底板の使用やマッサージ、足趾体操も大切です。

強剛母趾

母趾のMTP関節での可動域が制限され、特に背屈時に痛みを伴い母趾の底に胼胝(タコ)や鶏眼(魚の目)が形成されやすくなります。
歩行時の踏み返し運動が困難になるため、無意識に体重を足の外側に移動させ、その不自然な歩行のため他の障害も発生しやすいと言えます。

◎原因
①先天的要因。
②窮屈な靴の着用。
③外傷後や慢性関節リュウマチ、痛風、乾癬などの関節炎。
◎予防と対策
窮屈な靴の着用は避けましょう。
また、体重移動だけで全身運動のできる靴の使用や、中足骨パットの使用で母趾への負担を軽くすることもできます。
軽度の場合は抗炎症剤投与やステロイド等が痛みに有効ですが、ギブス固定や手術が必要なこともあります。整形外科にご相談下さい。

扁平足

底内側縦アーチの病的な低下で、痛みを伴い運動能力も低下し疲れやすくなります。
第二、第三中足骨骨頭部(足趾の付け根の下)に負荷が多くかかるため、足底部に胼胝(タコ)ができることがあります。

◎原因
①小児期後天的扁平足・・子どもに多く見られ、運動不足や単に発育の遅れが原因。
②特発性外反扁平足・・肥満や妊娠などによる体重の増加、靱帯や筋の弱化。
③変形性疾患や遺伝性疾患。
◎予防と対策
幼児期の扁平足には、裸足で遊ばせ木登りや縄跳び体操など、爪先立ちを含んだ運動をさせることが必要です。
成人の扁平足には母趾の背屈運動など、後脛骨筋や足底筋群などアーチを形成する筋、腱群を強化する運動が有効です。
アーチサポートの挿入も効果的ですが、挿入により他の障害が起こることがあるので注意が必要です。
※仮性扁平足・・筋肉が非常に発達したり、脂肪の付きすぎ等により、外見は土踏まずが無いように見えますが、アーチの低下は見られない状態をいいます。スポーツ、歩行に問題はありません。

ハイアーチ

アーチが通常より高い甲高の足で、中足骨骨頭底部に胼胝(タコ)ができやすくなります。

◎原因
原因は特定できませんが、靴が原因となることはありません。
◎予防と対策
中足骨骨頭部に負荷がかかりやすやすいので、できるだけヒールの低い靴がいいでしょう。
※ アーチの高さには標準は無く遺伝的なもので、高くても低くても異常とは限らず足の機能上何の障害も無いことが多くあります。

アキレス腱周囲炎

アキレス腱周囲に腫れ、痛み、時にはきしみ音が見られ、歩行障害をきたすこともあります。
疼痛は下り坂や階段降下時に出現しやすく、運動の開始時に強いのが特徴です。

◎原因
①スポーツや労働などによるアキレス腱への繰り返される動作が過大な負荷となって発症。
②不適当な靴の着用。
◎予防と対策
急性のものには安静が必要で、アキレス腱の運動を制御する必要があります。
靴や足底板を用いて踵部を高くし、歩行時の腱への負担を軽減させることもあります。予防にはスポーツ前後のウォーミングアップやストレッチが大切です。また靴の見直しも必要です。

足底腱膜炎

足底腱膜と呼ばれる足裏の中央に縦に伸びる筋群を覆う筋膜の障害で、ランニング、ジャンプ、歩行等の動作の繰り返しにより足底腱膜に過度のストレスがかかると、踵部に炎症が生じます。
運動時、歩行時などの踵部の痛みが主症状で、ひどくなると踵部接地が困難になります。

◎原因
スポーツに起因するものではジョギング愛好者、長距離ランナーに起こることが多く、中高年では足底腱膜への負担が大きい長時間の歩行や立ち仕事でも発生します。
◎予防と対策
局所の安静が最も大切です。
消炎のためのアイシングや湿布を行い歩行、ランニング、ジョギングなどを制限します。
足底腱膜への過負荷の一つとなる肥満にも注意しましょう。

タコ(胼胝)・魚の目(鶏眼)

タコは境界線の不鮮明なやや隆起した円形または楕円形の角質肥厚で、触覚は鈍く皮膚が黄色っぽく変色し、時には痛みを伴います。
タコと異なり魚の目は正常な皮膚との境界がはっきりして、中央に核があります。
タコは皮膚の表皮が盛り上がってくるのに対し、魚の目は皮膚の中に食い込んでくるのが特徴で、歩行に際してはタコより強い痛みを伴います。
趾尖部・趾間部・中足骨骨頭底などの圧力の集中する部位にできやすくなります。
長く放置したり自己処理を続けると、中で炎症を起こし化膿することもあります。

◎原因
①アーチ構造の変化や体重の増加による皮膚への圧迫や摩擦などの刺激。
②過度の圧迫を受ける靴や底の硬い靴による刺激。
③スポーツや労働などによる特有の刺激。
◎予防と対策
タコ(胼胝)も魚の目(鶏眼)も除去が第一です。
同時に過度の圧迫を与える靴や底の硬い靴は避けます。
骨の構造上のバランスの崩れから起こることも多く、筋力を鍛えるためにも足趾の体操が大切です。

いぼ(ウィルス性疣贅)

いぼは医学用語では疣贅(ゆうぜい)と言い、ほとんどが乳頭種ウィルスが起こす感染症で主に手指や足底に発生します。
皮膚が隆起し表面に黒点状斑の細かい毛細血管が存在し、削ると出血します。
足底に発生した場合、痛みを伴います。

◎原因
他者からの感染あるいは自分で傷つけての浸出液による感染。
◎予防と対策
速やかに皮膚科で治療を受けて下さい。
魚の目やタコと間違えていじったりすると感染が広がるので注意しましょう。

水虫(足白癬)



大きく三つのタイプに分けられます。
①小水疱鱗屑型(湿性型) - 赤みを帯びた小さな水疱が足底、足趾にでき数日で表皮が乾燥し皮がむけます。水疱が消えても又別の場所に新しい水疱ができ広がっていきます。
②趾間型白癬(湿性型) - 隣り合った趾が密着している第4趾と第5趾の間に多く発症し皮膚が白くふやけて皮がめくれます。周囲にふやけた部分が広がっていきます。
③角化型(乾燥型) - 足底全体、特に踵が角化して表面がザラザラになり皮がめくれていくタイプの水虫です。
ひどくなるとひび割れを起こします。 このタイプは水虫であることに気が付かない場合が多く、慢性化しやすいと言えます。

◎原因
白癬菌は糸状菌という真菌いわゆるカビの仲間で皮膚のタンパク質(ケラチン)をたべて生きています。
温度15℃以上、湿度70%以上になると増殖すると言われています。
◎予防と対策
常に足を清潔(洗浄と乾燥)に保つことが大切です。どこにでもいる常在菌で裸足になる公衆浴場やスポーツクラブ、スリッパを共有する病院や旅館など、感染の機会は多くありますが、菌の付着から感染までに24時間以上かかります。公衆浴場やプールなどに行った後は石鹸などを使って丁寧に足を洗いましょう。感染を予防できます。
家庭内感染も多く、保菌者とバスマットを共有しない、家中を裸足で歩かない等の注意が必要です。湿った靴は白癬菌の温床になります。一度履いた靴は湿気を帯び乾燥するのに丸一日かかります。最低2足を交代で履くようにし、一日履いたら次の日はよく陰干しをしましょう。
又、感染してしまった場合は薬を根気よくぬり続ける必要があります。菌は移動しますので薬は足全体に付けるようにしてください。
水虫はすべての種類において、かゆみを伴うものとそうでないものがあります。かゆくないからといって放置せず、必ず皮膚科で検査を受けましょう。症状が水虫であっても、他の皮膚病の可能性もあります。皮膚に異常を感じたら必ず皮膚科を受診してください。

爪甲白癬

爪に白癬菌が入り込み増殖し爪の白濁、黄濁、肥厚、波状あるいは不規則線状の変形が見られます。
自覚症状に乏しく年配者では爪の白濁や肥厚を老化現象と思っている人も多く、家族感染の根元になることも少なくありません。
爪は走行時に足趾を支える大切な場所です。
爪白癬を放置することで足が疲れやすくなったり靴が合いにくくなります。また他人へ感染を広げることになります。

◎原因
①足白癬を放置したため白癬菌が増殖し爪白癬に発展。
②爪の外傷部分等から白癬菌が侵入。
◎予防と対策
白癬には抗真菌薬を使用しますが、これには外用薬と内服薬の2種類があります。
爪甲白癬は外用薬だけでは治りにくく、内服薬の使用が必要となります。
爪の色や厚みに異常を感じたら放置せず、すぐに皮膚科を受診して下さい。

足蹠角皮症

足底、特にかかとの皮膚が乾燥し粉を吹いたようになります。
ひどいひび割れをおこし痛みや出血を伴うこともあります。

◎原因
①足裏の乾燥。
②白癬菌の感染による。(気付かない場合が多い)
◎予防と対策
白癬菌が原因であれば抗菌剤含有のクリームを使用します。(皮膚科で処方されます)
その他では尿素入りのクリームをお勧めします。
家中では素足より室内履きの使用を勧めます。
他の人とスリッパを共有しない等の注意も必要です。

アレルギー性皮膚炎

足に水泡や赤色の斑点、あるいは皮膚がふやけて皮がめくれる状態で、時には痒みもともないます。

◎原因
食べ物から来るもの、発汗障害、ストレスなどいろいろ考えられますが
靴に関するものとして次のようなものがあります。
1. ゴム底使用によるもの…ラバーソールやラバーを含んだ接着剤に反応。
2. タンニン剤のクローム塩によるアッパーアレルギー。
3. 原料を染める染料による皮膚炎。
4. 靴の内部に使用される先芯材やライニング材、通気性の悪い靴によるアレルギー。
◎予防と対策
1.のゴム底に関してはポリウレタンソールの靴をお勧めします。
2.では革製品を避けキャンパス地や合皮のものを使用しましょう。
3.染料のフェノールジアミン材は黒い靴に多いため黒い靴を避けて下さい。アゾイエロー材は茶の靴に多いので茶色の靴を避けて下さい。
4.靴の材質は、なるべく天然素材のものでぴったりのサイズを選ぶようにしましょう。

陥入爪

爪甲側縁が爪溝側爪郭に食い込み周囲に炎症を引き起こします。
発赤、腫れ、疼痛を伴い肉芽を形成することもあります。

◎原因
①先天的なもの。
②不適切な靴(スポーツシューズを含む)。
③深爪の習慣。
④白癬菌による巻き込み。
◎予防と対策
深爪をしないように注意し不適合な靴を履いて長時間、歩いたり激しいスポーツをすることは避けましょう。炎症をおこしている場合は、医療機関で治療を受けて下さい。

巻爪

爪とその周囲の軟部組織が外側、内側、爪の先の部分から圧迫され爪甲が横方向に湾曲し羊のように丸く巻き込み、時には強い痛みを伴います。
炎症を起こしたり、肉芽を形成することもあります。

◎原因
①先天的な爪甲爪郭異常による。
② 不適合な靴(スポーツシューズを含む)。
③ 深爪の習慣。
④ 爪白癬による爪巻き込み。
◎予防と対策
不適合な靴での長時間歩行や激しいスポーツは避けましょう。
爪を深く切りすぎないようにし、足をいつも清潔に保つようにします。
炎症があったり白癬菌を併発している場合は、医療機関で適切な治療を受けましょう。

ピンサーネイル

巻爪の中でも強度の巻き込みの状態で爪の左右がくっついて筒状になることもあります。

◎原因
巻爪と同じですが、先天的な要因が大きいといえます。
◎予防と対策
深爪をしない様に爪の切り方に注意をして下さい。
爪白癬を併発していることもありますので医療機関にご相談ください。

糖尿病性足部障害

糖尿病患者の6人に1人は足部に障害を持っているといわれています。
タコ(胼胝)と魚の目(鶏眼)・・・・・健康な人に比べ頻繁に発症し、急激に大きくなる傾向があります。   
皮膚の乾燥、亀裂、陥皮症・・・・・発汗障害のため足が異常に乾燥し角化異常、皮膚の裂構をおこします。   
潰瘍・・・・・足に不適合な靴の着用でできた靴ずれや傷から起こることが多く、痛みを感じにくいため壊疽に進行しやすくなります。   
骨関節疾患・・・・・骨変形を起こしやすく、その結果タコ、潰瘍なども起こしやすくなります。

◎原因
①末梢循環障害
局所への栄養の供給が悪化するため傷ができると治癒障害をきたし小さな傷から感染症を引き起こしやすくなり、さらに進行すると壊疽をおこします。
②神経障害
知覚、運動神経及び自立神経も害されるので、小さな傷から気づかぬうちに大きな損傷に進行しやすくなります。
◎予防と対策
足に合った靴を慎重に選び、摩擦を防ぐため必ず靴下を着用しましょう。
毎日足を観察し、傷などが無いか確かめることが大切です。